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衛星・通信

ULAがAmazon Leoの衛星29機を低軌道に投入——Starlinkを追うAmazonの衛星通信が本格化

2026-04-06
ULAがAmazon Leoの衛星29機を低軌道に投入——Starlinkを追うAmazonの衛星通信が本格化

日本時間4月4日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のロケットがフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられ、Amazonの衛星通信サービス「Amazon Leo」の通信衛星29機の低軌道投入に成功した。第5回目の本格打ち上げにあたり、これまでの各回27機から2機増やした29機を搭載。同社のロケット史上最重量のペイロードとなり、軌道上の衛星数は241基に達した。

Amazon Leoとは何か

Amazon Leoは、Amazonが進める低軌道衛星インターネット事業だ。もともと「プロジェクト・カイパー」というコードネームで開発が進められていたが、2025年11月に正式ブランド名「Amazon Leo」に改称した。「Leo」は低軌道を意味する英語の頭文字に由来する。 計画では3,236基の衛星を高度590〜630kmの低軌道に展開し、地球全体をカバーするブロードバンドネットワークを構築する。投資総額は100億ドル以上。衛星同士はレーザー光通信で結ばれており、地上の基地局を介さずに高速でデータをやりとりできる設計だ。競合はSpaceXのStarlinkで、すでに約8,000基以上の衛星を運用し世界各地でサービスを展開している。Amazon LeoはAmazonのクラウドサービスとの連携による企業・政府向け法人市場での差別化を狙っており、NTT・スカパーJSATなど日本企業とも協業している。

打ち上げ計画と商用展開

画像ロケットごとの衛星搭載数比較。大型ロケットほど一度に多くの衛星を運べる。(Credit: Amazon Leo)

今後1年間で20回以上の打ち上げを計画しており、今月末にはすでに2回が発表されている。4月27日(月)にはULAのロケットでケープカナベラルから29機、翌4月28日(火)にはアリアンスペースのロケットで32機が打ち上げられる予定だ。この2回だけで61機が加わり、合計300基超に到達する計算になる。まずは578基が軌道上に揃った時点で初期商用サービスを開始する予定で、2026年度中のサービス開始を目標としている。

打ち上げは80回以上を複数社と契約しており、ULAのほかブルーオリジン、アリアンスペース、SpaceXとも分散して発注している。自社でロケットを持たないAmazonにとって外部への依存は避けられないが、各社がそれぞれ開発上の問題や遅延を抱えており、予定通りに打ち上げ回数をこなせるかどうかは不透明な状況だ。 画像 航空分野でも顧客獲得が進んでいる。3月31日、デルタ航空がAmazon Leoを機内Wi-Fiとして2028年から導入すると発表した。まず500機への搭載から始め、デルタのマイレージ会員には無料で提供される。通信速度は最大1Gbpsと現行の機内Wi-Fiを大幅に上回る水準を見込んでおり、デルタがもともとAmazonのクラウドサービスを大規模に活用してきたことも採用の背景にある。すでにジェットブルーも導入を決めており、Starlinkがユナイテッド航空やアラスカ航空と提携しているのに対し、Amazon Leoも航空市場での存在感を高めている。

残された壁——FCCの期限とロケット不足

AmazonはFCCのライセンス条件として2026年7月30日までに1,618基を運用状態にする義務を負っているが、現時点の241基との差は依然として大きい。このためAmazonはすでにFCCに2年間の期限延長を申請しており、ロケット不足が主な理由として挙げられている。FCCが延長を認めるかどうかによって、サービス展開のスピードが大きく左右される。

参考文献

  • sorae.info「ULAがアトラスVでAmazonの衛星29機を打ち上げ」(2026年4月5日)
  • GeekWire「Chasing Starlink, Amazon Leo strikes satellite Wi-Fi deal for future Delta flights」(2026年3月31日)
  • Amazon「プロジェクト・カイパーは、Amazon Leoへ」(2025年11月)
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